Billy? concept

Billy? のサウンドは一言で言うなら純粋な音響の採取である。
そしてそれは数多くの断片を作為的な無作為によって並べた作品に表現されている。
その製作過程のうちでコンピューターの使用は必然的である。
一般に芸術的な音楽の価値とは、持続する集中力であり、アーティストの精神的な持続が評価の基準となるのなら、
Billy? は、より断片化され精神的な集中を無視するような方向性を目指している。

日常の生活が、常に中断され、断片化されていく労働の集積であるように、
Billy? はそうした現実の生活を表現したいのである。
完結した全体を目指さないこと、常に断片的であり続けること、演奏でななく処理の過程であること、
これらがBilly? の中心的なセオリーである。
それゆえ、今後のBilly? の作品は、断片的なファイルの一覧リストのようなものになるかもしれない。
そこには演奏はなく、処理加工を経た世界の一断片が並べられているだけである。
どこから聞くか、どれを飛ばすか、どこで止めるかが完全に自由な作品を作り続けたいと思う。
(菊池行記)


■ 菊池行記 Yukinori Kikuchi
・Billy?の創設者であり主宰者である。名古屋在住。Billy? 以外では、異種混合インプロ/ノイズ/フリージャズ・ユニットの「GUY UNIT」に参加。桑山清晴との音響ユニット「Lethe」。ディスロケーションの岡崎氏とのユニット「sand machine」。伝説的アシッドFolkインプロ音響ユニット「アローズ」。などに参加しており、名古屋では電子音楽、ノイズ、インプロ、フリージャズなど様々な世界で活躍している。個人でのソロ活動も行っており、近日ソロ・アルバムも発売予定。コンピューター、シンセサイザーなどの電子音響を得意とし、アナログ・ノイズ的な暴力性とデジタル電子音響の繊細さも表現可能である。Billy? のアルバムでは編集を一手にこなしている。
■ 石上和也 Kazuya Ishigami →web
・1972年、大阪生まれ。高校時代、サイケデリックミュージックに影響を受け、自身でもバンドを結成。同時に現代音楽を知り、ミュージック・コンクレート等の作品を作り始める。1997年8月、INA-GRMにて作品製作および発表を行う。また神戸を中心に活動する社会的アーティストNPO「ACTE KOBE」に参加。フランス、スイス、アジア諸国のアーティストとのコラボレーションを積極的に行う。2001年10月、稲見淳、マキノエミと共に音楽&ダンス集団「C.U.E.」を結成。同名であるスペース「C.U.E.」にて月2回のライブイベントを行う。またPenyynepそしてGROYXOなど関西を中心に活動する若手ノイジシャンと共にノイズの為のワークショップ「Noise Work Shop」に参加。
<主な活動>
ソロユニット『DARUIN』を始め、BILLY?、ジ・アルハンブラ、即興野郎Aチーム等、多彩なユニットで活動。多彩なカテゴリーのアーティストとのコラボレーション、ライヴ活動を行う。自主レーベル『NEUS-318』、オンラインショップ『C.U.E. records』を主宰。
■ 宮崎哲也 Tetsuya Miyazaki →web
・1972年長野出身。農家に生まれ育つ。20歳までいわゆる歌謡曲以外の音楽を主体的に聴くことが全くなかった。20歳以降、おそまきながら60〜70年代のロックを聴き始め、ほどなくMerzbow、Ovalなどの即興的電子音楽を耳にし、その影響により自ら演奏することを思い立つ。
1997年頃より即興演奏、自宅録音などの音楽活動を開始、1998年上京と同時に電子雑音企画 "NEO NOISE BLOOD" などでライヴも行うようになる。当初はアナログ機材によるノイズ・スタイルであったが、2000年以降演奏にPCを導入している。
2000年夏名古屋今池まつりでの共演がきっかけでBilly? に加入。
2001年電子音楽レーベル "rice-field" を立ち上げる。またBilly? と並行してソロ活動も行っている(see here)。 録音物としては、Billy? 3rdアルバム"clinamen"が初リリースである。"普通の音楽"を目指す。

■ 高木宏和 Hirokazu Takagi
・1980年代前半からジャンルにこだわらず、膨大な量の音楽を聴いて育つ。1980年代中ごろは国内の音楽雑誌向けにライター活動をする。1987年6月、二十歳になって自身のレーベル "LIVEVIL" を立ち上げる。すでに交流のあったSELEKTIONレーベルを中心にドイツ(当時は西ドイツ)、ベルギー、フランス、イギリス、アメリカのノイズ・アヴァンギャルド系ミュージシャンに参加を呼びかけ、日本では初めての「自主製作レーベルによる海外アーティストのコンピレーションCD」となる "A CONCLUSION OF UNRESTRAINED PHILOSOPHY" を1989年1月にリリースした。同年9月1日、名古屋今池オープンハウスのメルツバウ来演時に秋田氏を通じて岡崎氏と出会い、地元での音楽仲間を見つけることに成功する。1991年、同レーベルより2nd CD "PURE WILL, WITHOUT THE CONFUSIONS OF INTELLECT" をリリースした。岡崎氏のDISLOCATION、広瀬+大友DUOはこの音源でCDデビューという貴重な作品となっている。自分自身の音楽作品も1988年ごろから製作を開始し、初期はギターをエフェクト処理した作品を国内ノイズ系コンピレイション・テープに提供、また自作ターンテーブルで実験的カセットテープを製作し、友人に配布していた。1996年3月、菊地氏と出会いBilly?への参加をきっかけにターンテーブルに機材を統一した。1999年9月にいったんBilly?を脱退したが、2002年8月16日のTOKUZOライブでBilly?に復活し、現在に至る。